脳広域に設置可能な多点脳波計測フィルムで多感覚情報を検出
2023/5/8に以下のプレスリリースを行いました。
脳広域に設置可能な多点脳波計測フィルムで多感覚情報を検出
~マウス脳のマルチモダリティ情報を同時検出できる皮質脳波計測デバイスを開発~
豊橋技術科学大学 電気・電子情報工学系 関口寛人准教授と獨協医科大学 先端医科学統
合研究施設 瀬戸川将助教(現・大阪公立大学 特任助教)、大川宜昭准教授らは、マウスの
脳表面の広範囲に神経電極を配置し、大脳皮質広域の複数の領域から多感覚情報(注1)を
同時検出できるフレキシブルな皮質脳波計測(注2)フィルムを開発しました。
我々の脳では、複数の大脳皮質の領域が多様な感覚情報を同時に処理して統合すること
によって、注意、学習、記憶等の認知機能を達成していると考えられています。このような
認知機能の神経情報処理の仕組みの理解に向けて、マウスやラット等のげっ歯類を対象と
した多様な感覚情報を司る側頭部を含む脳の広範囲から脳波を同時検出できるデバイスが
求められていました。しかし、げっ歯類の側頭部は頭蓋骨とその周囲の側頭筋に妨げられる
ため、デバイスを設置すること自体が困難でした。
マウスの大脳皮質側頭部・深部へ脳波記録デバイスの設置を実現するためには、頭蓋骨と
大脳皮質表面の狭い隙間に記録電極を設置できるデバイス開発と手技の確立が必要でした。
今回、本研究グループは、(1)脳に密着できる柔軟性と剛性の両方の性質を維持する適切
なフィルムでできた皮質脳波計測デバイスの開発と、(2)脳側頭部へとデバイスを挿入す
る手術手技の確立によって、体性感覚と嗅覚への刺激によって誘発される大脳皮質の脳活
動の検出に成功しました。新たな皮質脳波計測デバイスを用いたこの計測手法は、既存の計
測技術よりも広範囲の神経活動計測を実現したことから、今後、脳領域間の相互作用のメカ
ニズムを明らかにする大規模な皮質脳波研究の発展が期待されます。
豊橋技術科学大学プレスリリース
脳広域に設置可能な多点脳波計測フィルムで多感覚情報を検出
~マウス脳のマルチモダリティ情報を同時検出できる皮質脳波計測デバイスを開発~
A novel micro-ECoG recording method for recording multisensory neural activity from the parietal to temporal cortices in mice